不動産会社の販売活動、その実態とは?(2)
Q:媒介契約を結んだ不動産会社が行う販売活動の内容を教えてください。
不動産会社と媒介契約を結ぶ際は、つい、会社が提示してくる査定金額ばかりに目が行ってしまいがちです。しかし、本当に大切なのは、契約を結んだあと、不動産会社がどれだけ売主様と物件に誠実に向き合ってくれるかに他なりません。不動産会社が取り組む「販売活動」は、まさにそれぞれの会社の誠実さを映し出すもの。今回は、そんな大切な販売活動のひとつ、「オープンハウスとオープンルーム」についてお話します。
その3 オープンハウスとオープンルーム
「オープンハウス」とは、一般のお客様に向けて住まいを解放する「見学会」のこと。物件が一戸建ての場合に使われる言葉です。同じ見学会でもマンションの場合は「オープンルーム」と呼ばれます。
このオープンハウス・オープンルーム、細かく言うと、通常の「内見」とは少し異なるものです。内見は、あらかじめ見学希望のお客様と売主様の予定をすり合わせて「では、この日、この時間にお越しください」と事前予約を取ります。見学のお客様は、売主様が実際に暮らしている家(部屋)を訪れるわけです。
一方、オープンハウス・オープンルームの場合は、主催者である不動産会社が前もって予定を決め、「今度の土曜日・日曜日の〇〇時から〇〇時までオープンハウスを開催します」などと地域の方々にチラシやホームページを利用して告知。見学のお客様は、売り出されている「空室になった物件」を自由に見学に来ます。
つまり、オープンハウス・オープンルームと内見の決定的な違いは、売主様がその物件にまだ住んでいるかどうか、ということです。もちろん、売主様の希望があれば、まだ住んでいる状態でオープンハウス・オープンルームを開催することも不可能ではありません。しかし、実際に住んでいる住まいを開放し、赤の他人に自由に見てもらうのはかなりのレアケースと言えるでしょう。
通常のオープンハウス・オープンルームは、売主様が引っ越しを完了された後、物件の鍵をお預かりしている不動産会社が、売主様の了承を得た上で企画します。企画は、やはり経験豊富な不動産会社に任せたほうが得策です。
なぜなら、物件が古く状態が悪いなど、マイナスな面ばかりが目立ってしまう心配がある場合、たくさんの人にアピールするための見学会が、かえって逆効果になってしまうこともあるからです。
「多くの人に見てもらうために、とりあえずオープンハウス・オープンルームをやりましょう!」といった安易な企画は成功しません。優れた不動産会社や営業マンが、「この物件ならオープンハウス・オープンルームが最適!」と決めたり、逆に「この物件は見学会ではなく、別の宣伝方法のほうが良さそうだ」と考慮するなど、豊富な知識や経験を基にした判断が重要になってきます。
加えて、オープンハウス・オープンルームの開催では、その中身も大切。売却の可能性を少しでも広げるためには、ただ見せるだけではなく、お預かりした物件の見せ方や、お越しいただいた見学のお客様を巧みにご案内する技術や経験も必要になるからです。